作品情報
原題:Rogue Trader
邦題:マネー・トレーダー 銀行崩壊
1999年公開のイギリス映画
あらすじ
1995年2月27日、全世界を衝撃のニュースが駆け巡った。1763年に創業され、“女王陛下の投資銀行”とまで言われたイギリスの名門ベアリングズ銀行が破綻した。デリバティブ(金融派生商品)取引で約8.6億ポンド(約1,380億円)という巨額の損失を出したのが原因。しかもたった一人の28歳のトレーダーによって……。この実際に起こった20世紀最大の金融スキャンダルの張本人ニック・リーソンの獄中手記を完全映画化。
出典 Yahoo!映画
評価
以下、ネタバレを含みます。
感想
ニック・リーソンの心の内
主人公のニック・リーソンは巨額の損失を架空の取引口座で誤魔化しながら、自己売買を繰り返していきます。この心情を察するに生きた心地がしなかったことでしょう。軽い気持ちで誤魔化した少額の損失が雪だるま式に膨れ上がっていくのを見ていればとても並みの精神力ではいられません。最終的に阪神・淡路大震災に起因する日経平均の大暴落で大損し逃亡中の飛行機内で逮捕されるわけですが、この時には既に諦観していたのではないでしょうか。結果的に名門と言われた大銀行を破綻させてしまった訳ですが、すべてが明るみに出たことでむしろすっきりしたのではないかと思います。
投資の神髄
この事件は顧客の資産を運用する機関投資家が不正をしていたので言語道断ですが、「損失を取り戻せる」「いつか勝てる」といった願望を個人投資家も考えてしまいます。投資は損切りや利益確定のルールを定めて淡々と行うことが理想ですが、どうしても事実を無視して「良い方向へ進む」と考えてしまうのです。特に投資初心者に多いのですが、ビギナーズラックなどで成功したと誤解すると根拠の無い自信で売買を繰り返し痛い目を見ます。
まとめ
ニック・リーソンが起こした事件は到底許されることではありません。ただ、このような投資に関わる歴史的な事件がノンフィクションの映画として見ることができるのはとても幸せだと思います。実際にお金を使わずに投資の教訓と投資に必要なマインドをセットで学ぶことができる良い映画です。投資初心者の方にはぜひ見ていただきたいですね。